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ペン工房のヴィリディタスを見学した話

こんにちは、昨日も今日も明後日も金子です。

 

「ペンをつくりたい」

突然ですが、昔からそう思っていました。しかし、こんなプラスチックや金属の加工なんて難しいよね。と思って、理想的なペンを探す旅がはじまります。

 

他人の言うことは参考程度なので、ペンを使ってみて「こんなペンが欲しい」、「こうだったらいいのに」、という気持ちは出てきます。だから、自分にとってペンをつくれる人は創造主です。神ですよ神。まさかそんな神が自分の住む地域にいるとは、出会えるとは思いもかけない幸運でした。神に感謝。

 

前置きが長くなりましたが「VIRIDITAS」はオリジナルのペンをつくる工房です。

最初に展示会で見たときには正直「美術的で美しいけれど、機能性がなぁ」という感想でした。それがたった1年足らずでジェットストリームの芯、そしてフリクションの芯に対応するという飛躍的な進歩を遂げてきたわけです。

 

美しくて機能性が高い。

 

それは最高のペンになると思います。我らが文具会でも購入する人が少しずつ増えていき、私は一目惚れして買ったペンがこれです。

 

栃の木ボディに真鍮ですよ。そして芯がフリクション。いやぁ参った。これでも恐ろしく悩んで一本に絞りました。私のポリシーとして一度に2本買わない。同時に買うと必ず偏るからです。この展示会のときに「工房見学させてください」と言ったら、「どうぞどうぞ」というお話。本当に良い人で更にファンになりました。

 

というわけで、よかよか文具会1月は「外海のペン工房VIRIDITAS見学ツアー」と称して新年一発目から遠征です。参加者は合計13人。車3台でいきました。

 

到着してすぐに出迎えてくれたのは

 

前門の鶏、背後には海

そしてヤギ!

 

参加者みんなで大盛り上がりですよ。ペン工房を見学に来たはずなのに本当に目的を見失うところでした。しかも崖の上にヤギ!その姿はシシ神様のよう。

目的はペン工房だったよな。すぐに忘れます。最初に工房に案内していただきました。そこに並んでいたマシンは「makita」私の兄がマキタの社員なものでその優秀さたるは比べるまでもないわけです。いい人認定です。ありがとう。

 

 

ペンをどうやってつくるのか?どうやって削るのかは興味がありましたが、四角い角柱にして、外を削り、中を削るわけです。当たり前といえば当たり前なのですが、目の前にある細かい曲線づくりの手の動き、これは本当に世界に同じペンなしだなと。確信しました。

他に気になったのは整理されているということです。ちょいちょい工具をオリジナルでつくっているようで木製の棚も素敵です。ある参加者は「ここに住みたい」といっておりました。気持ちわかる。

 

ペンをつくる元になる希少木は何度も足を運んで交渉して少しわけてもらったりするそうです。実際に自分が見て確認しなければ本物かどうかはわからない。ネットの言葉は信用できない。なるほど。

 

「せっかく世界に一本と思って購入してくれた木が偽物だったら嫌じゃないですか」なんていい人だ。

 

そして、同じ木でも模様が違うと。木にシワがよるそうです。木に枝が生えてくるとその下の部分にシワがよる。それが模様になると。それが波紋のようになっている模様の理由だったのかと凄く感心しました。シワが模様になり味になる。これは狙って一本欲しくなる。

 

工房での見学を終えてペンが並ぶ部屋へ移動するとそこは憧れの「木で出来た家&薪ストーブ!」そして展示会では全部会えなかったペン、ペン、ペン!!

美術館に来て美術品に触っていいよと言われているような感覚です。一本一本欲しすぎます。ヴィリディタスのペンはアクリルを削っているものもあり、私はこの美しさにやられています。ネットで写真を見て、実物はどんな感じなのかと思っていたペンが眼の前に一つ、一つ、これが幸せじゃなくて何が幸せなのでしょうか。

 

オリジナルのオーダーメイド万年筆は初めて見たものです。なんと木とアクリルのハイブリッドなボディが仕上がっています。なんて美しいのでしょうか。

 

そんな中でヴィリディタスの平さんは居合い7段という腕前と。まさかの真剣を触らせてもらえる機会に恵まれてまた感動。しかも刀の鍔部分の細工も自分でやったというのでリスペクトがとまらないわけです。

 

もうどのくらい時間が経ったのかも覚えていませんが、参加者の宿題として「ヴィリディタスさんへの感想や要望」というのを考えてきてよかよか文具会らしくミーティングするという企画を考えていましたのでひとりひとりにお話を伺っていきました。

 

ミーティングの質が高く、これは新製品の企画会議。すごい宝のようなユーザーの要望が溢れてくる、溢れてくる。内容は秘密ですが、私がお願いしたのは自分が購入したペンにクリップをつけてくれというものです。

 

現状のままだと机に立てるには不安定、横にすると転がる。クリップがないから胸ポケットに刺しにくい。やはりこれだけのペン、自慢したいわけです。ならばクリップを追加できるようにするだけでも全ての問題が全部解決する。わかりやすい例としてサクラクラフトラボをお見せしました。

 

 

 

 

サクラクラフトラボ002のクリップ追加みたいにできると良いなと思います。

 

なんやかんやで3時間。非常に密度の濃い時間が過ぎていきました。

 

ヴィリディタスは長崎のというか九州のというか日本の宝だと思います。よかよか文具会のミーティングの内容を全ては難しくても半分実現すれば文具業界は驚くと思います。そして真似するところが出てくるかもしれませんが関係ありません。真似できません。

 

ユーザーとクリエイターが直で繋がるとこんなに価値があるのかということを目の当たりにしました。そして、やっていてよかったと思いました。もっとこういう機会を増やしていこうと思います。

 

何より面白いと思います。本気でやるっていうのはこういうことなのか、と刺激されました。私も工房ほしいです。

   

 

帰りは鶏が列をつくって見守っていました。そして太陽が海に光の道をつくってくれていました。この環境でしか生まれないものがある。環境と工房と人。素晴らしいとしか言いようがない機会に感謝します。


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